チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

坂本龍一ライブ配信

坂本龍一ライブ配信Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2022」を観た。
周知の通り彼は今闘病中であり体力的に通常のライブを通しで演奏するのは難しいということで、少しずつ収録したものを編集して1本のライブ形式にまとめたというから壮絶だ。
「これが最後かもしれない」とのご本人からのコメントもあり、自分を形作った全てであるといっていい彼のこれまでの音楽を思い出し、様々な想いが交錯する中、心して鑑賞した。
実際画面に現れた痩せ細った彼の姿は往時を知る者としては衝撃的だった。

しかしそんな姿であってもいざピアノに向かうと、激しい曲はそれこそ生命を絞り出すかのように、静かな曲では訥々と一音一音愛おしく慈しむように奏でる中低音を活かした優しくも豊潤な和音はまさしく彼独特なものであり、聴いていて「あぁ自分は教授のこのハーモニーが本当に好きだったんだな〜」と改めて実感することができた。

特にYMO時代の名曲「東風」のアレンジは今まで聴いたことのない優しい響きに満ち溢れていて、いみじくも彼自身が「ここに来てわりと新境地かな」と照れ混じりで語ったその通りの新しい世界を垣間見せてくれた。

演奏終了後に特別配信された闘病中のスケッチから生まれた約6年ぶりのオリジナルアルバム「12」も久しぶりにシンセをメインにしたサウンドで、近作の中では最も好きかもしれない。リリースされたら愛聴版になりそう。

どうか教授、「これが最後」なんて言わないで。
私はまだまだ貴方の音楽を聴いていたい!!!

youtu.be

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