チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

ここらで自分的整理をしておく。

今回終始違和感が残ったのは、安保法制を批判する側で「戦争法案」「徴兵制」という言葉があちこちで踊っていたこと。

そりゃ誰だって戦争なんて嫌だし徴兵なんてとんでもない。本当にそんなことを言われたら自分だって全力で反対する。デモに参加した人たちもおそらくはほとんどがこんな純粋な切羽詰まった気持からだっただろう。

しかしそもそも「抑止力」とは読んで字の如くその戦争を抑止するために働く力。そりゃ理想を言ったらきりがないが世界はこれでずっと成り立っているのだから仕方ない。さすがに憲法9条のおかげで日本は70年間平和を保ってきたというのはあまりにもナンセンス。

なのでこの批判は甚だピント外れで自民党にとっては「戦争?それは嫌だよね。だからこの法案」「徴兵制?ありえんでしょ」「憲法違反?じゃ憲法変えようよ」で終わってしまって痛くも痒くもなかったのではないか。

そもそも徴兵制というのは現実的ではないし、今回の安保法制とはまた別の問題。

これではそれ以上議論が深まらない。なので今回のこの手の言葉を使ったピントの外れた情緒的反対論にはどうしても共感できないままだった。

そんな感情的なことではなく「現在の世界情勢で日本が取るべき安全保障とは」というもっと本質的な議論を闘わせてほしかった。

マスコミも戦争だ徴兵だという情緒的に人々の恐怖心を煽り立て対立を煽動するばかりで、安保問題の本質的議論と肝心の法案の細かい中身を細かく伝えて建設的議論を惹起しようとしなかったのが自分には非常に不満。

今回のことで最も批判されなければならないのは、本質的議論を避け続け感情的議論に終始した政治家と、その対立を更に煽り立てるばかりで本質的な部分を伝えようとしなかったマスコミだと思う。

日本では長いこと見ないふりをしてタブーとなっていた安全保障問題を、この機会に本質的な国民的議論に持って行けなかったのは我が国にとって本当に不幸なこと。

個人的には総論としては今回の安保法制はやむを得ないと思うが、各論ではよくわからないままだったというのが正直なところ。

なのでその辺のきちんとした説明を今後政府には期待したい。

野党ももっと冷静になって批判のための批判ではなく未来へつながる建設的な議論を。

政治的スローガンのプラカードを言論の府である神聖な国会に持ち込むなどもってのほか。

ただそれとはまた別に、これをきっかけに現行憲法が様々な矛盾点と問題を抱えているという国民的理解が深まり、今度はよりよい憲法改正への幅広い議論が深まることを期待したい。