三島由紀夫『午後の曳航』
日本文学を読みなおそうシリーズ
自らを振り返っても思い当たって思わず叫びだしそうになる、少年期の未熟な全能感と無謬性、そして現実世界への尊大な虚無感。
ここにそれを更に増幅させる煽動者と同志の存在があることによりそれは容易に危険な方向に向く。
怖ろしい物語。
日本文学を読みなおそうシリーズ
若い頃読んだつもりで実際読んでない作品は沢山あるのだろう。
これもそうだった。
こんな面白いものを忘れるわけがない。
三島は苦手な印象があったがこれを最初に読んでいればそんなことはなかった筈。
めくるめく言葉の波に身を委ね読み耽る。
日本文学を読みなおそうシリーズ
これもしかしたら初読かも?というくらい強烈な印象。
執拗な物言わぬ女体への執着、体温と臭いの描写、老いらくのエロスと隣り合わせの死。
というかこれほどの作品を覚えていないというのは本当に初読だったのだろう。
でもこれ十代の頃読んでもよくわからなかっただろうな…。