例年は九州で行われるはずが、今年はコロナの影響で両国国技館で開催された大相撲11月場所。
しかし先場所に続き白鵬・鶴竜の両横綱が初日から休場、おまけに期待された新大関正代と、優勝候補筆頭だった大関朝乃山が相次いで途中休場と、前半戦からいきなり暗雲が立ち込めた。
そんな中優勝したのは大関貴景勝。
唯一残った大関としての責任を最大限に果たして立派だった。
そして最後優勝決定戦で敗れたとは言え、照ノ富士の相撲は連日鬼気迫るものだった。
特に10日目うるさい翔猿を両カンヌキで根こそぎ高々と吊り上げた相撲には度肝を抜かれた。
為す術なく釣り上げられた翔猿を評して解説の北の富士さんいわく「塩鮭だってもっと格好良く釣られるよ」は傑作だった。さすが。
この他にも、最後まで優勝争いに加わった幕尻の志摩ノ海をはじめ、隆の勝、大栄翔、北勝富士、琴勝峰、竜電といった活きのいい若手の活躍がめざましく、怪我から復活を果たした千代の国の姿も感動を呼んだ。
上位陣の休場が相次ぎ、一時はどうなることかと思われた今場所も、出場力士たちの力のこもった必死の土俵姿は並々ならぬ気合いを感じ、見応えのある場所となった。
しかし今場所の主役といえば、何といっても連日向正面溜席東花道沿いの決まった席で、いかにも高そうでセンスの良い清楚なワンピースとバッグで、十両の土俵から常に背筋をピンと伸ばしてずっと正座で観戦し続けたお姉さんだろう。
初日にいきなり真っ白なワンピースで、スカスカの場内でそこだけスポットライトが当たっているかのように異様な輝きを放っていて否応なしに目に留まったが、その後15日間毎日その席に座り続けて見事に11月場所皆勤を果たした。
その華麗なお姿は、今場所の寂しい相撲中継の画面をずっと華やかに彩ってくれていた。
個人的に今場所の優勝は15戦全勝でこのお姉さんに決定!