チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

ゲーム・オブ・スローンズ

ゲーム・オブ・スローンズ』最終章最終話、無事最後まで見届けた。
全8章73話に及ぶ壮大な物語がここに完結。
その間寝食を忘れるほどに夢中にハマり、どっぷりとこの世界に浸かってきた。

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最終章の結末こそ、ここまで壮大な世界の大風呂敷を広げた割には随分こじんまりとまとめたな…と思ってしまったが、これほどの大作、当然観る者それぞれのストーリーと登場人物への思い入れが存在し、それぞれが理想の結末を描いていたであろう状態の中、観る者全てを納得させる結末などもはや存在しないであろう。
そう考えるとここまで楽しませてくれた製作者が考えたこの結末も自然と受け入れるしかない。

とはいえ、それまでに描かれた壮大なスケールの世界、それぞれをしっかりと描かれた数多の魅力的な登場人物、圧倒的な映像美、その全てをとっても、これまで制作された映像作品の中でも史上最高峰に位置する傑作であることは異論の余地がない。

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何より、いわゆる勧善懲悪とかポリコレ、コンプライアンス、え、ナニソレ?
という具合で、必ずしも正義が悪を挫くとは限らず、主人公かと思われる人物がいとも簡単ににそれも残酷にあっさり殺されていく。
そもそも「絶対正義」という価値観は存在せず、それぞれの登場人物の中に善良な部分と邪悪な部分が必ず存在し、それぞれの「正義」のためには残虐な行為を厭わないというあたりが執拗に描かれている所がとてもリアルで素晴らしい。

最初の方こそ、あまりの登場人物の多さと世界の複雑さで中々理解が出来ず、解説サイトや相関図などを参考にしながら何度か戻って見直したりしたが、いざこの世界が頭に入るとあとは一気にこの世界の中に没入できた。
とはいえ途中で「あれ、この人誰だっけ?」と相関図で確認することも幾度となくあったが。

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全部観終わった今でも、またすぐにでも最初から観直したいが、1話観るだけでかなりエネルギーを消耗して疲労困憊するので、しばらくほとぼりを冷まして、AmazonPrimeVideoで全話無料で観られるようになった頃にまたじっくりこの世界に入り込んで楽しみたいと思う。

今後これほどの作品に出会うことが出来るだろうか?
と思ってしまうくらいの衝撃をこの作品は自分にもたらした。

 

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自転車のブレーキ交換

最近自転車の後輪ブレーキがガサガサ音を立てるようになった。
よく見てみるとブレーキシューがかなりすり減っているよう。
ネットで調べると、どうやら自分でも交換できそう。
早速Amazonで取り寄せて交換作業やってみた。
交換後の調整がやや面倒だったが、どうにか交換できた。

ひとりでできるもん!

その後のサイクリングでブレーキは静かで効きが良くなったので大成功!

ネットの記事だと毎年交換するくらいの感じで書いてあったが、かれこれもう5年も乗ってるもんな。ブレーキを自分で交換するという発想が今までなかった。
でももうこれからは大丈V!()v

 

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新しいブレーキ

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新旧ブレーキ 右は相当すり減っている

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取り付け後

 

1円スマホ

カミさんのスマホの調子が悪くなってきたのでそろそろ買い替えを考えていたところ、今使っている物の買い替えで最新機種がなんと1円!というキャンペーンが始まった。

メーカーはFREETELのP6。FREETELと言えばもうつぶれてしまったのだが、その後を引き継いだメーカーによる在庫処分ということなのかな?とはいえ一応最新機種。

1円といっても、かつての大手キャリアがやっていたようなその分を利用料金に転嫁するといったものではなく、純粋に機種代金として。もちろん縛りもなし。
その代わり条件は通信会社を今までのFREETELから引き継いだ楽天モバイルからOCNに乗り換えるということ。
FREETELという通信会社はもう存在しないので、少しでも乗り換えを促進したいということか。

通信料金はFREETELでは音声通話込みで月々約1000円という驚異の安さだったが、OCNに乗り換えても今なら2年間キャンペーンプラス光モバイル割で1000円ちょっとと、今までとさほど変わらない。

実はこれまでもFREETELの端末をいくつか利用してきたが、バッテリー周りに問題があり、どれもピッタリ2年で壊れた。
そんなわけでもうFREETELの端末は使うまいと思っていたのだが、さすがに1円ならば早めに故障したところで痛くも痒くもない。
縛りもないし、2年保てば大ラッキーくらいの気持ちで気楽に使える。

さて、どれだけ使えるかな〜?

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ディープインパクト死す

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今から15年前くらいまで、競馬ファンの間ではいわゆる「史上最強馬論争」が絶えなかった。
オールドファンにとってはシンザンシンボリルドルフ、中堅ファンにとってはオグリキャップトウカイテイオー、若いファンにとってはナリタブライアンサイレンススズカエルコンドルパサーテイエムオペラオー等々、競馬ファンが集まればそれぞれの最強馬論争は朝まで尽きることはなかった。

しかし今から14年前、その果てしない論争についに問答無用で決着を付けた馬が登場した。
それがディープインパクト。その名の通り、この馬の圧倒的な強さと戦績とインパクトはそれまでの「俺の最強馬」たちを一瞬で黙らせてしまった。
今でも歴代最強馬としてのこの名に異論を挟む者はいないだろう。それほどまでに圧倒的存在だった。

この馬で思い出すのは2005年の有馬記念
その年ディープインパクトはここまで圧倒的強さで3冠を達成し、いまだ無敗で迎えた年末のグランプリレース。
ここでも当然単勝1.3倍の圧倒的人気で、彼の勝利を疑うものは一人もいなかった。
自分もその無敗での圧倒的勝利をこの目で観たくて、超満員の人で溢れかえる中山競馬場に足を運んでいた。

身動きすら出来ないほどの混雑のスタンドで、ようやく階段に立ち位置を確保すると、目の前に場違いな老夫婦がオロオロしていた。見るに見かねて「ここどうぞ」と隣のスペースをどうにか空けて譲ると、こちらが申し訳なくなるくらいに頭を下げて感謝してくれた。

奥さんの方は特に小柄で、場所を空けてあげたところで背伸びしても馬場は見えなそうだったが、それでも嬉しそうに話しかけてくれた。

「私ね、これ、買っちゃったんですよ」と目を輝かせながら手提げ袋から取り出して見せてくれたのは、ディープインパクト単勝の100円馬券。

「だって必ず勝つでしょ? 思い出になると思って・・・」

あまりに微笑ましくて、ついつい俺はこう答えてしまった。

「大丈夫、必ず当たりますよ」

「そうでしょ? よかったわ」

「それと私ね、ハーツクライは来ないと思うの」

「そうですね、ハーツクライは後ろからの競馬なので直線の短い中山では届かないですね」

と、ひとしきり会話を楽しんだ。

競馬場ではこういう見知らぬ人との刹那の出会いがとても楽しい。

 

そうこうしている間にいよいよファンファーレが鳴り響き、場内は大歓声の興奮のるつぼ。そんな会話もできなくなりみなレースだけに集中する。

スタートするとあとはもう2分半の間16万人の大歓声の渦の中、ゴールする瞬間にはその地鳴りのような轟音は最高潮に達する。

 

そしてレースは終わった。

結果は周知の通り、後ろから行くと思っていたハーツクライがあっと驚く先行策を取り、最後の直線で必死で追い上げるディープインパクトを尻目についにそのまま押し切ってしまった。

 

ディープインパクトが初めて負けた。

 

その後も含めて彼が日本国内で負けた唯一のレースとなった。
その瞬間の競馬場の16万人の雰囲気は今思い出しても何とも形容が出来ない。

自分も今目前で起こった出来事が信じられなくてしばらく開いた口が塞がらず呆然としてしまった。

レースが終わるとすぐに、それまで凝固していた人ごみがふいにドロドロと溶解するかのように流れ始め、気付いた時にはあっという間に老夫婦の姿を見失っていた。 

あの二人はどんな思いでこのゴールの瞬間を見たのだろう。

それを思うと、いまだにこの日のスタンドから見えた光景が、ディープインパクトの敗戦という事実ともに記憶にしっかりと刻み込まれて忘れられない。

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ディープインパクトとは、それから5年後、今から9年前に北海道へ旅した時に牧場で再会することができた。

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日本競馬に彗星の如く現れた誰しもが認める歴代最強馬ディープインパクト
その圧倒的な強さは競馬ファンの記憶に永遠に刻み込まれて消えることはないだろう。

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参議院選挙

 

参議院選挙の結果が出た。

思っていたほどの大きな変動はなく特に面白みはなかったが、まずまず波乱のない順当な結果。

獲得議席で見れば、与党が過半数を獲得し、圧勝と言っていいだろう。

特にこれまで日本の政治で最大の鬼門であり、過去に数多の政権を倒してきた消費税増税を掲げての選挙での勝利は記憶にある限り前代未聞で、この逆風を物ともしない安倍政権の安定感は過去に例を見ない驚嘆すべきものというしかないだろう。

ちなみに自分は何だかんだでまた延期するものとばかり思っていたので、結局撤回のないまま選挙に突入した時には正直今回ばかりは危ないか?と思っていたことを告白する。

随分前から言われていることだが、野党勢はこれまでの55年体制から抜けきれない旧態依然としたイデオロギー的批判ばかりのスタイルでは到底勝ち目はないことにいい加減目を覚まさなければならない。

批判と妨害と足の引っ張り合いばかりで何も中身が無いのはもう国民に見透かされてしまっている事に早く気づいて欲しい。

今のままでは結局残り少ない野党票を奪い合っているだけのことなので、近い将来今の野党勢は壊滅するしかない。

 

ではどうするか。

現在の自民党がいくら強いと言っても、「安倍さんだから支持する」または「他に支持できる政党が存在しないから」という理由の消極的支持の人も多くいることが知られている。

自分もその一人。自民党にも色々不満はあるので、将来自民党よりも優れていると思える政党が現れたら喜んで支持する。是非ともそういう政党が出てきて欲しい。

安倍さんが総裁でいる限りは難しいかもしれないが、安倍さん以降の自民党の票を奪うには、こういう層をターゲットにできる現実的政策立案のしっかりできる政党が出てくれば、今は盤石に見える自民党票を切り崩すのも不可能ではないと思う。

そういう意味では維新には期待しているし、評価もしているのだけれど、なかなか票が伸びないのは、かつての橋下さんのようなカリスマが存在しないからか。

今回の選挙からは国民民主党がそのポジションに気づき始めているような気もするが、旧民主党の色がベッタリと付いてしまっている今のメンバーではいくら頑張ってももう無理だろう。

 

もしくは、いっそのこと自民党よりも更に右に位置する政党があってもいい。

もちろんヘイトスピーチを撒き散らすような過激なものでなく、現実的な世界情勢を読める穏健で誠実な右翼政党。

そもそも国会内で自民党が最右翼という現状も、共産党議席を得ていることを考えるとバランス的にはおかしいと前から思っている。

まあこれにもカリスマ的人物の存在が必須だが。

誰か作ってくれないものかね。上手くやれば需要は大きいと思うよ。

 

そして驚いたのはれいわ新選組NHKから国民を守る党議席を得たこと。

NHKから国民を守る党に関しては、面白半分のノリで投票してしまう人がこんなにもいるのか、と暗澹たる気持ちになっただけだが、注目すべきはれいわ新選組の方。

そもそも自分はこの山本太郎なる人物の過去の言動から、この人を全く信頼に足る人物とはゆめゆめ思えないので、正直ここまで票を獲るとは思っていなかった。

おまけに政策はポピュリズム丸出し、外交安保に関しては全く明らかにしないあたりは胡散臭さ極まりない

しかしながら経済政策や比例の特定枠を使うアイデアなど、相当有能なブレインが付いているものと思われる。

演説はさすが元役者なだけあって巧妙な心理的誘導とある種洗脳的な語り口、その手のテクニックをよく研究している。

この多くの人に目を向けさせる手法は正直脱帽せざるを得なかった。

少なくとも自分は全く支持はできないが、今まで政治に全く関心のなかった多くの人を政治に目を向けるきっかけを作ってくれた功績は評価したい。

 

今回の選挙結果で、個人的には改憲勢力が3分の2に届かなかったことは残念ではあるが、これからもしっかり議論は続けていって欲しい。

とにかく議論することが仕事の国会議員が、それすら許さないなどとはあるまじき問題。

最終的に決めるのは国会議員ではなく国民なのだから、議員の皆さんにはそれまで徹底的に建設的な議論を重ねて改正すべきポイントをしっかり丁寧に国民に示して欲しい。

そうすれば長い間「平和憲法」と刷り込まれてきた国民の間にも、現憲法の問題点は理解が進むのではないだろうか。

それにしてもまさかまさかの国民民主党が国会のキャスティングボートを握ることになるとは思わなかったな(^_^;)

大貫妙子アルバムレビュー 〜その3〜 (1983〜85)

前作までのいわゆる「ヨーロッパ3部作」で世界を確立した大貫さん。
これ以降は格別ヨーロッパにとらわれることなく、更なる幅を広げた独自のポップ路線を広げていく。

 

7. Signifie('83)

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前作『Cliche』でついに本場フランスレコーディングを果たしついにモノホンになったことで、もうやることがなくなってしまい、ヨーロッパ路線はこれにて完了となる。
このアルバムでは新生大貫妙子の新たなる世界を模索する姿が見られて、バラエティに富んだ曲作りをしている。

しかしながら前作まであれ程の凄まじい切れ味を見せていた坂本龍一アレンジはネタ切れ気味なのかキレはやや影を潜め、個人的にはアレンジを分け合う清水信之アレンジには当時からもう一つ馴染めないものを感じていた。

サウンド的にもちょうどこの頃から皆こぞって使いだしたリンドラム(かな?)の音が、どうしても今となっては強烈な時代感を覚えてしまう。

ヨーロッパ路線から脱したものの、新たな世界を確立する試行錯誤の途上中、といった印象のアルバム。
★8

 【この1曲】

『Recipe』
リンドラムによる打ち込みリズムが多くなってきた中で、この曲は林立夫後藤次利のブリブリベースによる生のリズム隊で安心する。
間奏の坂本龍一のピアノソロも心なしか活き活きとしていてカッコイイ。

途中ユーミンの『12月の雨』のリフが出てくるのも、ドラムが林立夫だけにニヤリとさせられる。
これって元ネタあったんだっけ? 

 

8. カイエ('84)

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前作で新たな世界を模索していたが、今作では再びフランスレコーディングでヨーロッパ路線に舞い戻ってしまう。
おまけに既存曲カヴァーのインストも多く、二番煎じ感は否めない。
とはいえフランスレコーディング曲のクオリティは相変わらず素晴らしい。

しかしここでも清水信之アレンジ曲が今ひとつ世界に馴染んでない気がする。
★7

【この1曲】

カイエ (Ⅰ)
かつての盟友山下達郎ばりのアカペラ多重レコーディングで、アルバムオープニングのインパクトは抜群。
とはいえ達郎とは全く違う彼女独自の世界を確立している。 

 

9. Copine('85)

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アレンジは従来通り坂本龍一清水信之だが、ここではこれまでとは音がガラリと変わり、オマー・ハキム、ウィル・リー、ブレッカーブラザースなどを起用して、生楽器を主体にしたどちらかというとロック寄りのサウンド
当時彼女の興味が向いていたアフリカの影響か、どこか野性味溢れる雰囲気もある。
そんな中でも『春の嵐』の坂本龍一のオーケストラアレンジは安定の美しさで素晴らしいの一言。
『野辺』の歌曲的アプローチも素敵。

ただ、当時の自分はこのアルバムを聴いて、「大貫妙子は一体どこへ行こうとしているのだろう?」と一抹の不安を感じたのが偽らざる心境である。
★7 

【この1曲】

Les aventurea de TINTIN(タンタンの冒険)
坂本龍一アレンジのこの曲を初めて聴いた時の衝撃は忘れられない。
ゲートリバーヴの効いたデジタルビートに、ブリブリのチョッパーベース、そしてド派手なオーケストラヒットと、それまで聴いたこともないような斬新なサウンドにぶっ飛んだ。
こうして要素を並べてみると今となっては典型的なこの時代を象徴するような時代掛かったサウンドなのかもしれないが、自分の中ではいまだにこの時の衝撃が残っており、今でも充分面白く聴けるのだがいかがだろうか。

とはいえ、このサウンドをわざわざ大貫妙子でやる必要があったのか? というの甚だ疑問ではある。


 

 

ongakubakufu.hatenablog.com

大貫妙子アルバムレビュー 〜その2〜 (1980〜82)

78年の『MIGNONNE』発表後、2年間の空白期を経た大貫妙子は、それまでのイメージからガラリと変貌して復活した。
ヨーロッパをテーマにした彼女の音楽性はその後そのまま彼女のイメージそのものとなり、ここから彼女の快進撃が始まる。

自分が彼女の音楽に初めて触れたのはこの時期。
81年頃、maxellのTVCMで吉田美奈子とラジの3人と競合して流れていたが、その中で一番印象に残ったのが大貫妙子の『黒のクレール』だった。
調べてみたらなんとアレンジは当時YMOで一世を風靡していた坂本龍一ではないか!
その後ほどなくしてリリースされたこの曲が収録されたニューアルバム『Cliché』を聴いて完全にハマった。
そこから過去作を遡り、今回ご紹介する3枚はそれこそテープが伸びるほど何百回聴いたかわからない、最も自分にとって馴染みの深い「ヨーロッパ3部作」と呼ばれる3作。

 

4ROMANTIQUE('80)

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 前作『MIGNONNE』が、プロデューサーの言われた通りに作ったのに全く売れなかったことにショックを受けて、2年間の空白期に入る。

そんな彼女を見かねた牧村憲一氏のアドバイスにより、それまでのジョニ・ミッチェルフュージョンクロスオーヴァーサウンドアメリカから、シャンソンやフレンチポップのヨーロッパへ志向を変えたことで、彼女は華麗に復活を遂げる。
以降「大貫妙子=ヨーロッパ」というイメージの図式を確立し、以降も歌い継がれる永遠の名曲が多く誕生することになる。

ちなみにユーミンも全く同じ時期に、ヨーロッパ的架空の世界をイメージした『時のないホテル』を発表しており、ヨーロッパというのはこの当時のトレンドだったのかもしれない。

2年間の空白を経て満を持して発表されたこのアルバムのアレンジは、坂本龍一加藤和彦の半々。
演奏は坂本アレンジはYMO、加藤アレンジは清水信之ムーンライダーズなど。
当時既にヨーロッパ志向のアルバムを発表していた加藤和彦にとってこのサウンドはお手の物だし、デビュー当時からアレンジに携わっていた盟友坂本龍一は、この2年間の休養の間にYMOの成功でまたたく間に一気にスターダムにのし上がっていた。

その坂本龍一の当時の飛ぶ鳥を落とす勢いを感じるのが、このアルバムのオープニングを飾る『Carnaval』。
これまでの彼女のイメージからガラリと変わってシンセをバリバリフィーチャーしたYMOサウンドに以前からのファンはさぞかし驚いたことだろう。
今聴くとオーバーアレンジ気味でさすがにやりすぎだとは思うがインパクトは抜群で、この曲の印象で当時音楽界を席巻していたいわゆるYMOファミリーの一員として彼女は扱われるようになり知名度が一気に上がった。自分もそのラインで知ることになる。

しかし坂本龍一のこのコケオドシ的アレンジはこの曲だけで、これ以外は堅実なオーソドックなアレンジでヨーロッパの世界を構築する。

彼女の楽曲に関しても、ヨーロッパ的抑揚と陰影のあるメロディアスな技法を手に入れたことで更にクオリティが上がり、名曲ばかり。
★10 

【この1曲】

『若き日の望楼』

パリの若き芸術家たちの生活を描いたこの曲は、名曲揃いのこのアルバムの中でも特に切なく感動的。自分はこの曲を聴くたびに一体何度泣かされたことか。
その後も何度もセルフカヴァーされることになる名曲中の名曲。

 

 

5. AVENTURE('81)

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前作でヨーロッパ的世界を確立した彼女、今作もその流れを汲み、やや陰鬱な雰囲気もあった前作よりポップできらめく雰囲気。
大雑把なイメージで言うと、舞台が東欧から地中海に移った感じとでも言おうか。

1曲目を飾るのも前作と打って変わってどポップな売れ線メロディの『恋人達の明日』。
実際当時のアイドル白石まるみがこの曲をカヴァーした。

楽曲とアレンジのクオリティーも更に上がり、充実しきった名曲ばかり。
今回のアレンジは前作に続き坂本龍一加藤和彦に加えて、前田憲男大村憲司といった豪華な面々。
前田憲男アレンジの『グランプリ』は当時はあまり好きではなかったが、今聴くととてもカッコいいなぁ。
★10 

【この1曲】

『テルミネ』

佳曲が多いので迷ってしまうが、中でも比較的地味なこの曲。
聴く者の予想をどんどん裏切って展開していく器楽的メロディーが素晴らしい。

 

 

6. Cliché('82)

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 いわゆる「ヨーロッパ三部作」と呼ばれる三作目。
ここでついに本場フランスのアレンジャーとオーケストラを起用してフランス録音することで大貫妙子流ヨーロピアサウンドが完結する。

個人的には自分が初めて彼女の音楽に触れた作品であり、毎日毎日何度も何度も繰り返し最も聴いたアルバムで、あまりに思い入れが大きく聴き過ぎでちょっと飽きが来たので、その後は関心が他のアルバムに向き、正直その後はあまり聴くことなく忘れ去ってしまっていた。

しかし今回改めて久しぶりに聴いてみると、やはりなんと素晴らしいアルバムだろう!
楽曲のクオリティも全て粒揃いで飛び抜けて高いし、坂本龍一アレンジの東京録音も、Jean Musyアレンジのフランス録音もどちらも本当に素晴らしい最高のアルバムだった。

やはり当時自分が初めて触れて一発で夢中になってしまったのも当然の傑作だと、改めて思った。

ただ唯一『Labyrinth』だけは当時も今もやはり好きになれない…。
ボーカルにかかっているエコーも気持ち悪いし、そもそも何でベースが入ってないの〜教授〜!?
★10

【この1曲】

『憶ひ出』

本当に優れた楽曲ばかりだが、敢えてやや地味なフランス録音のこの曲。
当時はメロドラマみたいな大袈裟なイントロだな〜と思っていたが、いやいやこれでこそドラマチックでいいではないか!

そしてその大袈裟なイントロから歌が入った瞬間の転調は、さながらオフコースの『Yes-No』のような不意打ちの気持ちよさで、何度聴いても新鮮。

 

 

ongakubakufu.hatenablog.com

丸ノ内線方南町支線

子供の頃十数年間方南町に住んでいたのでとても興味深い記事。

ついに方南町住民の悲願、丸ノ内線本線直通が叶う。

これまでは基本的に中野坂上で乗り換え、直通列車はあっても終点一つ手前の車庫がある中野富士見町止まりなので、方南町駅利用者はいずれにしても乗り換えを強いられていた。

今でこそ本線と同じ車両の3両編成だが、かつては銀座線の短い車両のお古の2両編成で、長いことポイント部分で車内灯が消えて真っ暗になっていた。いかにもローカル線風情。
それがついに最新の車両の6両編成が対応になったとのこと。

随分大掛かりな工事だったようだが、これでかなり便利になるだろう。
もう長いことこの駅を利用していないので大昔の風景しか知らないが、新しい出口が出来たりして駅周辺の風景も激変しているようだ。

しかし子供の頃からあった駅出口の立ち食いそば屋が、工事で移転こそしたとはいえいまだに健在なのは驚き!

2年前のこの記事も、丸ノ内線支線の歴史的経緯がよく分かるので合わせて読みたい。

水の虫

恥を忍んで書くが、生まれて初めて水虫になった。
1ヶ月ほど前近所の入浴施設で貰ってきてしまったようだ。

最初は痒みだけだったのが段々酷くなり、しまいには足の指の間に水疱とひび割れのようなものが出来て、その範囲がみるみる広がってきた。

これはヤバイと思ってとりあえずドラッグストアで塗り薬を買ってきたら、これが驚くほど劇的に効いた。

塗るのは1日1回、その間写真の足指広げを装着して乾燥を保つようにする。
まず1日目にいきなり痒みが治まり、5日も経つ頃には水疱とひび割れもすっかり消えた。ものすごい効き目。

今はもう見た目はすっかり治っているが、3ヶ月くらいは塗り続けないと根治は出来ないそうなので、まだ塗り続けている。チューブ1本使い切る頃には根治しているだろう。
人知れず悩んでいる方、薬の効果はテキメンだよ!(^O^)/

そしてこの機会に色々調べてみると、水虫の予防法もわかってきた。
まず外の入浴施設やプールで貰ってしまうのはこれはもう防ぎようがない。
しかし、水虫の白癬菌が角質層に侵入するには丸1日かかるので、その前に洗い流してしまえばいい。
つまり、温泉やプールに行ったら、家に帰ってもう1度足を石鹸で洗い流せば菌が皮膚に定着する前に落とすことができるということ。

実際自分がなってみる前はこんなことは全然知らなかった。
でもこれを知っておけば今後は水虫に罹ることはないだろう。

もう大丈夫。
何事も経験だね!(*゚∀゚)

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J☆Dee'Z 1stフルアルバム『Jewel』を聴いて

 J☆Dee'Z(ジェイディーズ)待望の1stフルアルバム『Jewel』が2月にリリースされた。

 

新曲は4曲であとは全て既発シングル曲で、デビューからこれまでのキャリアをまとめたJ☆Dee'Zのベストアルバムと言える内容。
しかし冒頭からいきなり新曲が2曲連続して始まるところは、J☆Dee'Zの最も新しい「今」を聴いてほしいというみなぎる自信が窺える。

その1曲目『Shoes』を聴いて驚いた。
アップテンポのイケイケ今どきアイドルギターポップ感満載で、自分の好みではないけれど、まあこういう方向性も必要だということは理解できる。
実際、ライブではとても盛り上がるのでこちら方面へのアピールになるのではないか。

 

 

そして2曲目も新曲『いますぐに会いたい』。
これぞ自分がJ☆Dee'Z求めるど真ん中のファンキーなミディアムテンポ。
発売後の展開を見ると、運営側もこの曲をこのアルバムのリード曲としているようで納得。
こういう黒っぽい曲では特にNonoの表現力が光る。

 

3曲めの『未来飛行』からは怒涛のJ☆Dee'Zシングルヒットメドレー。
こうして並べて聴くと改めて本当にいい曲ばかりだと思う。
この曲順にも彼女たちのこだわりがあるとのことなので、是非曲順通りに聴きたい。

途中に挟まる新曲『初恋』。
スローなバラードでJ☆Dee'Zの新境地。
ただこれは彼女たちのような実力派にはどうしてもついて回るジレンマなのだが、このスタジオバージョンよりも、その後ツアーを回って何度も歌って鍛えられたライブバージョンのほうが格段に表現力が増している。
ライブでこの曲ラストのNonoのフェイクも最高なのだが、これはライブでしか聴くことができないので、是非ライブに来て生歌で確かめて欲しい。

 


 
途中、5年前のデビュー時の楽曲『Beasty Girls』『Let the music flow』の新録バージョンが挟まれる。
これは当時からメンバー構成が変わってしまっているのと、今の成長を見せるという意味もあるのだろう。
実際、ほとんど1発録りに近い感じで録られたようで、ライブ感満載で、彼女たちのこの5年間の成長も伝わる。
ただ、やはり声が変わって歌唱力も増しているので、デビュー時の時のようなイキったクソガキ感が薄れて歌詞とややギャップができてしまっているのは、まあそれだけ大人になったということで仕方ないか。

ラストはこれも新曲でタイトル曲『Jewel』で締めくくられる。
これもいい曲ではあるけれど、個人的にはアルバム表題曲としてはややパンチが足りなかったかな?という気がしないでもない。
実際、その後ずっとリード曲扱いになっているのは『いますぐに会いたい』の方だし。

さて、記念すべきJ☆Dee'Zの1stアルバムがついにリリースされたわけだが、実質的なベスト盤ということで、これまでのJ☆Dee'Zの歩みと成長を世に問う事はできたと思う。
もちろん大事なのはここから。
間もなく発表されるであろう10枚目のシングルとそれに伴う展開で真価を問われることになると思う。

その報せを首を長くして待っていたい。

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