さて折角上野公園まで来たのだから、学食ハンターの使命としては、昼食は芸大に潜入してバッハの流れる中ゴージャスに(あくまでイメージ)と思ったが、あいにくその日芸大は卒業式で食堂はパーティ会場となっており、華やかなはいからさん達で埋め尽くされていた。
はてどうしようと地図を開いてみると、今まで自分がいかにこの辺りの地理に疎かったかを思い知った。
不忍池の裏、もうそこは東大だった。
さ、最高学府ぢゃん!
今までもちろん全く縁のない場所だったので、当然一度も行ったことはない。
これは行かないわけにはいかないでしょう!!
古い建築物が好きでわざわざ見に行ったりするくらいだけれど、ここはそんな建物のオンパレードだった。それぞれの建物の歴史的価値なんかはわからないけれど、日本中でこれほど古くて重厚な建築物が一同に会している場所なんて他にはないんじゃないか?
校舎一つ一つを一日掛けてゆっくり見てまわっても飽きることはないだろうと思われた。
こんなにすごい所だとは知らなかったよ。
まさしく『東大もと暗し』とはこのことだ。
昔のニュース映像で見ていた安田講堂なんか、いかにも『学歴社会の象徴』みたいに高くそびえ立って見えていたけれど、実際には想像していたよりひとまわり小さく、そしてどこまでも美しかった。
ここで30年以上前に壮絶な戦いが繰り広げられたんだなぁとしばし感慨に耽る。
しかしこの安田講堂の地下には、地上からは全く想像もつかないSFな世界が広がっていた。
暗い階段を降りてビックリ。そこは一昔前のアニメの宇宙船のようだった。
目標の学食はこんなところに身を隠していた。
とにかく広い。メニューもなかなかに豊富。値段も味も「This is 学食」てな感じ。素晴らしい。
安田講堂から正門へと続く銀杏並木の石畳は、さながら大正~昭和の頃の丸の内や日比谷界隈はこんな雰囲気だったのでは、と勝手な想像を膨らませてくれた。
振り返ると夕暮れの石畳の突き当たりに、長い影を従えた安田講堂が少し肩幅を小さくして見送ってくれた。