前作、名盤『昨晩お会いしましょう』からいよいよユーミンの80年代快進撃が始まった。
13. PEARL PIERCE('82)松任谷由実
前作『昨晩お会いしましょう』に引き続き、落ち着いたAORサウンドに更にブラック・コンテンポラリー要素が加わった感じで、聴いていてとても心地よい。
これも前作同様、1曲目の『ようこそ輝く時間へ』のイントロが始まった瞬間の名盤の予感ひしひしのワクワク感がハンパない。
そしてその後の展開もその期待を裏切らない、お洒落で落ち着いた良曲が満載。
ユーミンの楽曲と松任谷正隆氏はじめ制作陣が冴え渡っている。
この時期の絶好調が伝わってくる。
★10
【この1曲】
『DANG DANG』
このアルバムで有名曲と言えば『真珠のピアス』と並んでこの曲かな。
かなり渋めのメロディの曲が多い中で、この曲は特にキャッチーで耳に残る。
14. REINCARNATION('83)松任谷由実
『昨晩お会いしましょう』『PEARL PIERCE』と2枚連続で傑作が続いて、次もと期待したが、おっと何だこれは???
これまではアルバム冒頭の1曲目で「おっ!」とワクワクさせてくれたが、これはその感覚は全くなく、それどころかアタマから2曲続けてダサダサで正直ガッカリ。
とはいえもちろんこの時代の作品を現代の感覚で振り返っているわけで、当時の「時代性」を加味しなくてはいけないことは充分承知しているつもりだが、それにしたってこれはちょっと…。
そもそもREINCARNATIONというタイトルからして仰々しいし、アルバム全体を通して、「姫、ご乱心!?」と言いたくなるような、どこか浮足立って地に足がついてない印象。
2作続けて落ち着いた良作を作ったことでイメージチェンジを図ろうと冒険したのかもしれない。
ユーミンの場合は、ロックに寄せてくると途端にダサくなるのかな〜。
★7
【この1曲】
『NIGHT WALKER』
そんなわけでこの中から1曲を選ぶのも難儀だが、強いて選ぶとすればこの曲か。
浮足立った雰囲気の中で唯一前2作のような落ち着いた音作りで、地に足がついている感じ。
15. VOYAGER('83)松任谷由実
前作では驚かされたが、ここでは落ち着きを取り戻してくれたようでホッと一安心。
楽曲は、当時アイドルへの楽曲提供が盛んだったことを反映してか、 メロディアスでポップな佳曲が並ぶ。
個人的にはこのアルバムでユーミンがヒット曲のメソッドを完全に掴んだような気がする。
★9
【この1曲】
『不思議な体験』
このアルバムの有名曲と言えば『ダンデライオン〜遅咲きのたんぽぽ』と『時をかける少女』だと思うが、そのどちらもいいが自分が一番好きなのはこの曲。
とにかくサビのメロディとハーモニーには神が舞い降りている。
16. NO SIDE('84)松任谷由実
このアルバムはとにかく2曲目からの
『ノーサイド』
『DOWNTOWN BOY』
『BLIZZARD』
という怒涛の名曲3連発が強力すぎる!
この3曲だけでもう完全にノックアウトレベルなのだが、更にB面の
『破れた恋の繕し方教えます』
『午前4時の電話』
『木枯らしのダイアリー』
の地味ながら隠れた強力3連発畳み掛けも凄い。
『破れた恋の繕し方教えます』なんかはイントロで「えっ、CCBか!?」と一瞬あ然としてしまうだが、歌が入れば大丈夫(笑)。
サビなんかホントにキャッチーで最高のメロディ。
ルイス・ジョンソンのベースは正直うるさい(^o^;)
それにしてもよくぞこんなにいい曲を集めたものだ。
ノリにノッてるユーミンの文句無しの傑作アルバム。
しかし自分は『SHANGRILAをめざせ』だけはダメ(;´Д`)
あまりにもギャップが激しすぎるが、こういう振れ幅の大きさもユーミンの特徴の一つなのだろう。
★10
【この1曲】
『BLIZZARD』
本当に名曲揃いのこのアルバムだが、自分にとってはやはり、ある時この曲と同じ状況の吹雪の中スキー場に向かう車の中で偶然聴いて感動し、それまで聴かず嫌いだったユーミンを改めて聴いてみようと思わせてくれたこの曲に感謝したい。
本当にアレンジも含めてよく出来た素晴らしい名曲で、特にサビの「♪包め〜世界を〜」で、ⅥマイナーからⅥメジャーに変わる瞬間の、歌の伸ばしにエレピの上昇フレーズが追い越していく所がギリギリ際どくてスリリングでドキドキして何度聴いてもたまらない(*°∀°)=3