『秒速5センチメートル』
以前観た『君の名は。』がとても良かったので、新海誠監督の過去作品がAmazonPrimeVideoの見放題から外れてしまうということで慌てて観た。
実は自分はアニメがあまり得意ではない。特に声優の妙に媚びた声色や、ハイテンションな騒がしさ、感情を極端な表情の変化で見せようとする所、などが苦手である。
しかしこの作品には自分にとってその苦手要素がほとんどなく、ことさら大事件が起きるわけでもなく（『君の名は。』は大事件だったが💦）、日々の日常の延長の風景が美しい映像で綴られ、主人公の心情は淡々としたモノローグで語られる。
この物語は主人公の男の子が初恋（？）の女の子を忘れられずに成長していく3部作。
とにかく超写実的な風景描写が美しく、カット一つ一つがどれも強烈に心に残って印象的。自分にとっては特に両毛線のくたびれた115系のリアルな描写にぐっと来た。
ドラマチックな大事件があるわけでもなく、大げさな心の叫びがあるわけでもなく、詳細な説明をせずに観る者それぞれの経験や人生においての想像力を働かせるというのは自分はとても好き。
最近観た大ヒットアニメでの、ひたすらハイテンションで騒いだり、観ていればわかることを事細かに心の声で説明してしまったり、わかりやすい表情の変化で心情を表したりなどの表現手法とは正反対の対極にあるこの作品。
こういう両極にある作品がそれぞれ評価されるというところが、日本のアニメシーンの成熟した懐の深さなんだろうな。いいものを観ました。
『言の葉の庭』
『秒速5センチメートル』がとても良かったので、新海誠作品もう一つを見放題切れギリギリで観ることができた。
こちらも相変わらず美しい映像と、淡々とした描写、そして雨の音などの印象的な効果音で綴られる。
『秒速5センチメートル』もそうだが、観終わってから評価を見ると賛否がクッキリ分かれているのが面白い。
自分はもちろん大好きな方。新海誠作品、もっと観てみたくなった。
