前作までの小林武史プロデュース3部作で売れ線路線を狙うも成功したとは言い難い。ここからどんな方向に舵を切るのか。
18. TCHOU('95)
前作までのポップな売れ線が失敗したことの反動か、ここでは一気にマニアック路線に振り切る。こうして考えると何かと振れ幅の大きい人だ。
全編ブラジル録音で、アレンジもサンバ&ボサノバ系で演奏も現地ミュージシャン。そこにはポップさのかけらもなく、ただひたすらまったりとマニアック。
相変わらず演奏のクオリティは高いが、まったりしすぎて正直退屈してしまう。
心が疲れたときの癒やしにはいいのかも知れない。
この時期の彼女には音楽的な迷いを感じてしまう。
★6
【この1曲】
『FRIENDS』
ひたすらまったりした空気が流れるこのアルバムの中で、唯一ビート感とジャズ的アプローチを感じる曲。
サンバやボサノバに造詣のない自分には唯一「お、カッコいい!」と思えた曲だった。
19. LUCY('97)
1990年の『NEW MOON』からの低迷期(個人的見解)が続いていた大貫さん。
今作ではそれを打破するためについにかつての盟友坂本龍一と再びタッグを組んだ!
これは当時もかなり話題になって、しばらく遠ざかっていた自分もこれを知って久しぶりにリリースを心待ちにしていたのを思い出す。
しかし実際聴いてみるとその大きな期待は打ち砕かれ、随分こじんまりまとまってしまった印象を持った。
当時はあまりにも期待が大きすぎた分、がっかりも大きかったのかも知れないと思ったが、今久しぶりに聴いてみてもやはりその印象は覆らなかった。
かつての盟友坂本龍一をもってしても、残念ながら往年の作品のような化学反応は起きず、まだまだ低迷期は続くかに思える。
★7
【この1曲】
『TANGO』
坂本龍一の全キャリアの中でも最も美しい曲の一つをカヴァー。これから悪かろうはずがない。
20. 東京日和('97)
映画のサントラのようだが、自分はこの映画は未見。
ほとんどがインスト曲で、映像のイメージがない自分には評価は不能。
★5
【この1曲】
『ひまわり』
その中で唯一の歌入りバージョン。
和風でとてもいいメロディ。