チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

東京五輪終わる

f:id:ongakubakufu:20210810170252j:plain

東京五輪が終わった。
本来昨年開催されるはずがコロナで1年延期となり、未だ続くコロナ禍で賛否両論の中、まずは途中不測の事態で中断や中止されることなく最後までなんとか乗り切ることができて本当によかったと思う。

色々あった中で参加した選手たちの頑張りによって内容は本当に素晴らしく、元来オリンピック好きな自分もコロナの影響で仕事が少なかったことも相まって、当初の想像以上の興奮と感動で大いに盛り上がって観戦することができた。

中でも個人的に盛り上がったのはやはり柔道、卓球、ソフトボール、野球、女子バスケなど。
普段あまり観ないスポーツも五輪となると俄然にわかファンになるのが定番。
柔道は毎回五輪の度に「面白いな〜」と思うのだがいつも五輪が終わると忘れてしまう😅
野球も普段は国内ペナントレースにはほとんど興味がないが、こと国際戦となると一気に火がつく。
今回も山本、森下、伊藤、栗林といった若くて活きのいいピッチャーの投げっぷりに惚れた。
これから国内戦でも注目しようと思う。
ソフトボールもレジェンド上野とその意志を受け継ぐであろう新鋭後藤の活躍にシビレた。
しかし野球もソフトも今回のみの特例で、今後もやはり五輪競技としての存続が厳しそうなのが残念。

卓球は元々好きな上に今回も混合ダブルスで初の金メダルを獲るなど日本人選手の活躍がめざましかった。
特に山梨県民としてはやはり平野美宇さんが前回の悔しさをバネに大活躍してくれたのがとても嬉しい。

そして驚いたのが女子バスケ!
特に160cm台の町田さん、本橋さんが2m級の相手選手に果敢に立ち向かい、パスを回し、場合によってはかいくぐって突進して自らシュートを放つ姿は、まさしく進撃の巨人で巨人に立ち向かうミカサ・アッカーマンのようで胸を打つものがあった。
バスケなんて長身の海外勢には全く歯が立たないだろうと偏見を持っていた自分を恥じる。
身長では劣ってもこんな戦い方ができるのかと衝撃的ですらあった。

そしてメダリストではないが強く印象に残ったのが陸上1500mの田中希実さん。
これまで全く海外とは勝負にならなかった女子中距離で決勝に残って入賞したというのはどれほどの賞賛の言葉を持ってしても足りないだろう。
こちらも大きな選手に混じって孤軍奮闘する小柄な身体がひときわ可憐で、そのひたむきに走る姿はまさに「リアルウマ娘」!(*゚∀゚)

f:id:ongakubakufu:20210810170312j:plain

さて、競技に関してはこのように選手たちの頑張りでとても楽しませてもらったが、問題は開会式と閉会式だ。
開会式に関しては、とにかくトラブルに次ぐトラブルで直前までバタバタしていたので、ひょっとしたら式として成り立たないのではないかくらいに最初から期待値を思い切り下げて冷やかし半分で観ていたせいか、どうにかこうにか形にはなっていたと思った。
しかしそれぞれの演目のつながりや意味が見出せずバラバラの印象で、コロナの影響で五輪開会式名物の人海戦術が使えなかったことと、直前までの混乱ぶりを考えるとまあこれくらいで仕方ないかな、というレベルだった。
強いて言えば低予算を逆手に取ったピクトグラムパフォーマンスとドローン演出はなかなか工夫されていて面白かった。

しかしそれ以上に呆れたのは閉会式だ。
いかにも急場凌ぎだった開会式の反省が全く活かされず、ダラダラと繰り広げられる意味不明の演目をただひたすら見せられる選手たちが気の毒でならなかった。
当初の「震災復興五輪」としての各国への感謝の姿勢や、延期時に言われた「人類が新型コロナに打ち勝った証」という高い理念が全く見えてこず、そこには歴史も繋がりも理想も全く見いだせなかった。
おそらく宮沢賢治や気味の悪い謎の踊りで表現されていた、と言いたいのだろうが、そんな「わかる奴だけにわかればいい」的な上から目線の「意識の高い」演出は傲慢なだけで、ましてや外国人には全くもって意味不明なだけだっただろう。
全体の構成も莫大な予算が投じられたはずなのに、度重なる予定変更と中抜きに次ぐ中抜きでどう考えてもスッカスカの低予算の安っぽさだった。
その金は一体どこに消えてしまったのか。
最後の最後に選手たちの頑張りと競技の盛り上がりに上から思い切り泥を塗って台無しにしてしまった。

開会式も閉会式もどちらも昨今の風潮を反映して「多様性」ばかりを強調するばかりに、肝心の開催国である日本の「国民性」が全く蔑ろにされてしまっていたように感じた。
そもそも全世界が注目するオリンピックの開閉会式なんて、開催国の魅力を存分にアピールできる最大級のイベントなのに、これを見た世界の人が「日本はなんて魅力的な国なんだ!」と感じてくれたとはとても思えない。
これはスイスのオメガ社が作ったプロモーション動画だが、こんなセンスのあるカッコいい演出が見たかった。

 

そもそも今回の東京五輪、開催が決まった当初から何かとケチが付きどおしだった。
その原因のほとんどが不明瞭な人選や莫大な金の流れ。
こうした問題が度重なるのはその根本のIOCから連なる巨大な利権体質に大きな原因があるのだろう。
競技の面白さとこうした問題とは全く別の話。
オリンピックが成功して「面白かったね!」「よかったね!」だけでは決して済まされない。
これまでは五輪成功の為に静かにしていたが、これからこれまで一体裏で何が行われてきたかのいきさつが一気に吹き出してくるだろう。どうか包み隠さず徹底的に洗い出してもらいたい。
自分は元々東京五輪には賛成だったので、こうした問題が起きる度に悲しく、なにより参加する選手たちが気の毒でならなかった。
恐らくこれに懲りて今後自分が生きている間に日本がオリンピックを招致することはもうないと思うが、こういう金と利権にまみれた薄汚れた商業五輪は金輪際これで最後にしてもらいたい。

そしていまだ広がりを見せ続けるコロナウィルス。
自分は今年に春くらいまでは正直開催は不可能だろうと思っていたので、まさかの開催強行には驚きと不安でいっぱいだったが、兎にも角にも現場スタッフと選手たちのおかげで大きな事故なく最後まで開催できて本当に安心した。現場の混乱と苦労はいかばかりであっただろうか。
しかし問題はこれから。
まだこのあとパラリンピックがあるが、正直国民の興味が持続するのはここまでだろう。
ここまで「オリンピックだから仕方ない」と我慢しておとなしく家で観戦していたいた人たちも、これからお盆にかけて一気に活動を始めることが予想される。
これからはワクチンの接種率とのせめぎ合いの攻防になると思うが、何より必要なのはこれ以上コロナの拡大を絶対に防ぐという政治家の強い意志と国民一人一人の自覚だ。
オリンピックという大義名分の免罪符がなくなり、これからは国民の目もますます厳しいものになるだろう。
これからの舵取りが非常に重要なものになる。
しかし現政権にその期待が全く見えてこないのが残念でならない。