チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

菅政権を振り返る

昨日衆参両院本会議において自民党岸田文雄総裁が第100代内閣総理大臣に指名された。
早速最初の就任記者会見を観たが、全体を通して誠実な人柄は伝わってきたが、どうもまだまだ安全運転に徹しているようで、正直言葉は発するものの抽象的で具体性に乏しく、官僚的な回りくどい言い回しに終始しているというのが第一印象でやや残念だった。
まあこの辺は今後選挙を超えれば多少は変わってくるのかもしれないが、選挙戦中でもこんな感じだとするとなかなかこれは前途多難かもしれない。
同時に重厚感がまだ足りないとも思ったが、地位が人を作るわけで、これはおいおい自然と備わってくるものだろう。
どうか日本の為に力を尽くしていただきたい。

そして退任となった菅義偉前総理にも触れておきたい。
突然退陣となった安倍政権をそのまま継承する形の異常なまでの高支持率のスタートでちょっと心配したが、就任早々彼に待ち受けていたのは「コロナ禍での五輪開催」という誰がやっても困難なミッションだった。
自分も去年の段階では開催は不可能だと思っていたが、今年に入っても全く中止する気配がなくどうやらこのまま決行するようだとなった時は、正直そんな無茶な、と思ってしまった。
その決断に至る背景に、データから導き出した確固たる勝算があったのか、はたまた巷間噂されるような利権が存在していたのかはわからないが、やはりかなりの賭けだったのではないだろうか。
日本国中が賛成、反対で大きく二分される中行われた東京五輪だったが、競技自体は参加選手たちの頑張りによって大いに盛り上がり、幸いにして大きな問題や事件が起こることなくどうやら無事に乗り切ることができてホッとした。
この開催が果たして成功だったのか失敗だったのかは後世の評価に任せるほかはないが、菅政権の為した大きな実績として残ることは間違いない。

そしてコロナ対策も、当初からは想像もできなかったスピードでワクチン接種が進んだのは大きく評価できる。

その他にも、たった1年の間だったとはとても思えないほどの多くの様々な政策を矢継ぎ早に打ち出したのは圧巻だった。

しかしそんないかにも仕事のできる菅総理だったが、問題は国民に向けての説明が絶対的に足りないことだった。
ご本人も派手なパフォーマンスを好まず、不言実行で突き進めば国民は評価してくれると信じていた節があるが、残念ながら国民はそこまで辛抱強く理解してはくれなかった。
これまでのように参謀や裏方だったらそれでよかったが、いざ総理大臣ともなるとやはり国民に向けるわかりやすいパフォーマンスも必要だった。
官房長官という参謀としては非常に有能だったが、総理大臣として国民を引っ張るには残念ながら向いていなかったということなのだろう。

どうにか五輪を乗り切り、ワクチン接種も急速に進み、あとは選挙でこの1年の審判を問い、そこで初めて自前の内閣を作りようやくそこから思い描いた政治ができるとの思いが強かっただろうが、残念ながらそれは実現できずに退陣のやむなきに至ったのはさぞかし無念だったことだろう。
挙げ句の果てに皮肉なことに「退陣を決意したことが自民党にとって最大の貢献」などという言われようをされてしまったのはさすがに気の毒な最後だった。

最後は支持率が下がって大きな批判を浴びることになってしまったが、その実やはり仕事はできるという事実は示してくれた。
見ている人はしっかり見ていたと思う。
これからも日本の政治を裏に回って支えてくれることを期待したい。
1年間お疲れ様でした。