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自民党総裁選終わる

自民党総裁選が終わり、新総裁に岸田文雄氏が選ばれた。
支持率が下がり続けていた菅前総裁が総裁選不出馬を表明したところからスタートした今回の総裁選。
真っ先に手を挙げた岸田氏が、権勢を振るっていた二階氏に党役員任期改革案を突きつけることで事実上反旗を翻して一世一代の勝負に出る形ではじまり、その後も高市早苗氏、河野太郎氏、野田聖子氏が出馬し4名の戦いとなって大いに盛り上がった。

選挙戦序盤は知名度もあり国民的人気も高いと言われる河野氏が優勢との見方が多く、自分も大いに期待してたが、いざ選挙戦が始まると討論会などでの撥ね付けるような態度は正直あまり印象の良いものではなく、あれ?こんな人だったっけ?という軽い失望感もあり、選挙戦が進むにつれて徐々に旗色が悪くなっていった。

一方、大いに存在感を増したのは高市早苗氏だっただろう。
個人的にも以前から好きな政治家だったが、今回の選挙戦では政策の幅広さと知識、討論会での頭の回転の速さと対応力と、確固たる信念と国家観を柔らかな物腰で大いにアピールして、負けはしたものの将来の日本初の女性総理の最有力候補に躍り出たことは間違いない。
そしてこれが今回の最大の目的と役割であったであろう、離れかけていた自民党の保守支持層をまた一気に呼び戻すことにも成功したと思われる。

最も異彩を放ったのが野田聖子氏。
元々当選の可能性は限りなく低く、出馬することに意義を見出した彼女は、ターゲットを女性と子供に絞って討論会に臨んだことにより、それが却って自民党の右から左までのウイングの幅広さをアピールする結果になり、野党の存在意義が霞んでしまった。
この効能は予想外だったが、そこに存在意義を見出した彼女の遠慮会釈のない開き直った討論はある意味無双状態で痛快ですらあった。

そんな多士済々の候補者の中で岸田氏はひたすら丁寧な説明と穏やかな調整力をアピールし、派手さはないが政党を束ねる総裁としての安定感は抜群に見えた。

個人的には河野氏高市氏も以前から注目はしていたが、正直党内での幅広い支持を集めるにはまだ時期尚早ではないかと思っていたので、まあ落ち着くところに落ち着いたのかな、というのが正直な感想である。
それに現在はコロナの先行きがまだまだ不透明で、今総理になるには菅総理同様、ある意味火中の栗を拾う覚悟がいる。
河野、高市氏はこの間にじっくりと自身の政策と支持者を固めて次代の安定政権へ向けて準備を整えていてほしい。

総裁選が始まる前は、次の衆議院選挙で自民党は大幅に議席を減らすと言われていただけに、この総裁選で再び注目を集めてなんとか離れて行きつつあった支持者を再び引き戻すことが大きな目的だったが、討論会が大いに盛り上がったことでその目的は予想以上の効果をもって成功したと言えるのではないだろうか。

とにかく目先の次の選挙を戦う自民党議員にしてみると、この総裁選が国民的注目を大いに集めたことで、当初イメージアップのために切望されていた河野氏高市氏のような党論を二分しかねない「劇薬」はもはや必要なく、インパクトはないが党内を一致団結してまとめてくれるであろう岸田氏で安定を求めたいという判断が最終的に働いたのかもしれない。

最後の最後までどうなるか中々予想のつかなかった今回の総裁選挙、久しぶりに大いに盛り上がって楽しむことができた。

岸田新総裁には是非その持てる力を奮って日本のために頑張っていただきたい。
そんな期待を持って今後を見守っていきたいと思う。