チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

『どうする家康』終わる

大河ドラマ『どうする家康』が終わった。

あまりの不評ぶりに大幅路線変更とテコ入れがあったと推測される最終盤(秀吉の死後あたりから)こそどうにかまともに観られるようになったものの、本能寺の変あたりまでの前半はとにかく絶望的につまらなかった。
その原因は脚本だったり役者の力不足など色々言われているが、あらゆる要素が全て相乗効果でつまらない一方向に突き進んでいったとしか思えない。
歴史的人物を描いたドラマにおいて、脚本家のオリジナルストーリーや歴史の新解釈などは、単純に面白かったり「なるほど、そういう見方があるか!」と感心できれば全然いいのだが、そのことごとくがやればやるほど壊滅的につまらなかったのはどうしようもない。

終盤の茶々役の北川景子の怪演と、それに引っ張られたであろう秀頼役の作間龍斗千姫役の原菜乃華の豊臣方の若手役者陣の演技は中々見どころがあったが、最終回ではせっかく盛り上げてくれた豊臣方の最期のあとに、何を思ったかわざわざ尺を延長してまで前半の悪かった部分を掻き集めて凝縮したかのような無駄な回想シーンをぶち込んできたのはもはや不可解としか思えず、そこまでの豊臣方の好演が全てぶち壊しとなって最悪の印象しか残らなくなってしまったのは極めて残念だった。
特にラストシーンがよりによって一番つまらなかった「えびすくい」だったのは何かの冗談か悪夢のようにしか思えなかった。

さて気を取り直して来年からは『光る君へ』が始まる。
主人公は紫式部ということで、一体どこをどう楽しめばいいのか全く未知数だが、前作の『鎌倉殿の13人』が同様の懸念を抱きながら歴史的傑作になったので、こちらも大石静脚本というところに一縷の期待を持って楽しみにしたい。