チェリーの音楽幕府

音楽の話題が多いと見せかけてそうでもない

5月に読んだ本

坂の上の雲(一)~司馬遼太郎全集26~ 司馬遼太郎

坂の上の雲(一)/司馬遼太郎
遂に幕末を通り越して明治にやってきてしまった。 以前から面白いと聞いていたこの長篇。ついに手をつけたら途端にどっぷりとのめり込んでしまった。全集なので全三冊。
松山出身の三人の若者、後に日本初の陸軍騎兵隊を作った秋山好古、海軍の参謀となりバルチック艦隊を破ることになる秋山真之の兄弟、日本の近代文学に多大な影響を与えた歌人正岡子規を中心にした物語。
明治という新しい時代を迎え、自分の可能性を確かめようとどこまでも向上していく若者達。新時代の到来で、目の前には何の障害も絶望もない。誰も手をつけていないどこまでも昇って行く坂道、その上にある雲は一体どんな形をしているのか。日本の将来に見えるその雲を自分達の手で作ることができる。前半はそんな希望に満ちた若々しいとても明るい物語だ。ここから物語は司馬遼太郎特有の、主人公の手を離れ、近代日本の存亡を賭けた日露戦争の大絵巻へと突入してゆく。あぁもう止まらない。
★★★★★